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原一男の日々是好日 ―ちょっと早目の遺言のような繰り言―

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ただいま、鋭意、編集ちゅう!①

「CINEMA塾」傑作“名講座”選
(タイトル未定/筑摩書房刊/来春発刊予定)
 既にお知らせした通り「CINEMA塾」講座を現在、鋭意、編集中である。先日、深作欣二監督の直しをやった。講座自体は1995年開催だったから、もう20年前ということになるが深作監督と議論したのが、つい昨日のように思い出される。こうして当時語り合ったゲスト監督とのやり取りを文字という形に変換して何度も読み返していると、今さらながらゲスト監督の言葉の含蓄の奥深さに驚くばかり。語り合っているその場では、私はインタビュアーでもあるので、議論の場の構成を作ることで精一杯、ゲスト監督の言葉を理解仕切れていないことがある。それはひとえに私自身の未熟さゆえであるのだが、こうして直しをやりながら、ああ、ここは、相手の言葉の重要さを聞き逃がしていたなあ、とか、ここはもっと突っ込むべきだったなあ、とか臍をかむことしきりである。ま、己の未熟さを呪うことはおいといて、相手の言わんとすることが実によく伝わってくる。20年経ってやっと伝わるなどと喜ぶなんて笑止千万、間抜けの骨頂だと思うのだが、まあ、それは勘弁してもらって、今は素直に幸福感に浸りたいと思う。この講座は、先輩監督を招いてその胸を借りて、互いの経験をキャッチボールしながら、先達の叡智を学ぼうというのが元々の発想。そしてその結晶を、この直しという作業の中から受け取っているわけである。直しをやりながら、心底、ああこの講座をやって良かったなあ、としみじみと幸福感に浸っている。

深作監督の部では、言葉とともに深作監督の熱っぽさがビンビン伝わってくるのだが、まさにそれは深作作品から受け取る熱っぽさと同質であることが実に良く理解できる。

(2015.10.15 記)
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