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原一男の日々是好日 ―ちょっと早目の遺言のような繰り言―

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第4回 ゲスト阪本順治監督
ニコ生「CINEMA塾」4回目は、阪本順治監督。彼は早くも2回目の登場です。

今回、取りあげる作品は「団地」。今回のトークのために阪本監督の過去の作品は、スタッフに強く薦められてみた「魂萌え!」。これが、見てビックリ。その出来のすばらしさに、もう、舌を巻きました。うまい!ってことです。主人公の風吹ジュンの演技の素晴らしさもさることながら、彼女演じる中年女性の感情をここまで深く、艶っぽく、的確に演出できる阪本監督の技量、センスに驚いたのだ。今はDVDでしか見られないのだろうが、一見をお勧めする。そして最新作の「団地」。コレがまた傑作なのだ。決して大笑いするようなタイプではないが、クスクス笑える演出は見事なものだ。しかも、こんなストーリーってありなの?って、あきれること請け合いだ。

したがってニコ生放送では、絶賛絶賛の連続。彼に“名匠”という称号を上げてもいいとさえ思っている。今や小津安二郎クラスに匹敵する監督だと思っている。表面上だけで褒めているのでなく心底、尊敬している。が、いくら名監督といえども、全作が傑作だとは、いえない。阪本監督は、大作はイマイチだなあ、という感じはある。だから私が傑作だと思っている作品は、小品、というべき、予算の厳しいものだ。阪本監督本人に言わせると、自由度がある、そうな。なるほどね、と納得。私があまりに、大作はイマイチ、と強調するものだから、大作は大作として挑戦してみたいと思う、と言う。その発言ももっともだと思う。あまり、大作がイマイチ、と言い過ぎると監督としての仕事が来なくなっても困る、と言われて、それもそうだと、反省。

私はこれまで私より年長の巨匠といわれる監督たちを目標に学びたいと思ってきた。がその考えに変化がでてきた。阪本監督は私より一回りほど年令はしただが、私より若い人のなかに、うまい人がいれば、その若い監督から学ぶべき、だと思えるようになった。その第一人者が阪本順治監督であることは紛れないことだが。
(2016.6.30記)
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