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『ゆきゆきて、神軍』公開30年記念上映 で併映される『短編『亜人間 奥崎謙三』について原一男監督からのコメント

『ゆきゆきて、神軍』公開30年記念上映 で併映される『短編『亜人間 奥崎謙三』について原一男監督からのコメントです。

短編『亜人間 奥崎謙三』について

 奥崎謙三さんが亡くなってしばらく経った頃、奥崎さんの熱心な支援を続けてきた方から電話を頂いた。「奥崎さんの形見分けをしますので来ませんか?」と。田中角栄を殺すために記す、と大書したシャッターを上げて中に入るとかつて知ったる奥崎さんの事務所。生前の奥崎さんのイメージが蘇る。階段を上がっていくと、主がいないため締め切ってるせいだろう、かび臭い感じ。ここで奥崎さんは寝泊まりしていたのだ。部屋を見回す。格別な趣味とてなかった奥崎さん、金目のものなんかあるわけないことは知っているが、せめて記念になるものはないかと見回す。部屋の片隅のタンスの上で目がとまった。VHSテープが積み上げてあった。手に取り、ラベルをみると「神軍平等兵の遺言」「神軍平等兵の凱旋」等の、独特の癖のある奥崎さんの文字が読めた。テープの数、およそ40本。「これを頂いていいですか?」「いいですよ」

 持ち帰った、晩年の奥崎さんの映像。再生して観てみると、年をとって体も弱ってきたことだろう、ベッドの上に座った状態で、カメラマンは多分、バイトで雇った若い人と思われるが彼に指示しての、一人語りの映像がほとんどだ。
 語りの内容だが、私への批判もある。かなりどぎつい内容だ。聞きながら、そうかあ……奥崎さんは、まだ「神軍Part2」の夢が諦められないのか!と胸が痛んだ。

 私の感慨はさておき、この映像を奥崎ファンに見せてあげるべき、と思った次第。そんな経緯があってこの「㊙奥崎謙三の晩年」を今回のイベントで上映することを決めたわけです。

 映画監督・原一男

『ゆきゆきて、神軍』公開30年記念上映 - 8月12日(土)~8月18日(金) | UPLINK
http://www.uplink.co.jp/movie/2017/48623

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