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『ニッポン国VS泉南石綿村』4月5日大阪/関係者・内覧試写会 感想①T.J(団体幹事)(2017.4.18)

4月5日に行なった『ニッポン国vs泉南石綿村』の大阪関係者・内覧試写会にお越し下さった方の感想文をご紹介します。
今後もたくさんの方の感想をご紹介していきたいと思います。

記録映画『ニッポン国vs泉南石綿村』を見て T.J(団体幹事)

 4月5日の昼、大阪芸術大学のホールで泉南アスベスト訴訟の記録映画『ニッポン国vs泉南石綿村』の完成試写会があり行ってきました。

 映画は、上映時間3時間半におよぶ超大作・ドキュメンタリー映画ですが、上映終了直後「えっ、これって記録映画??劇映画ではなかったか」としばらく混とんとしました。続く原監督と鑑賞者の会場交流の中で、参加者からさまざまな感想が出されましたが私も「記録映画・ドキュメンタリー映画だが、人間ドラマのようだった」と感想をのべました。
丁度取材に来ていたNHKの記者がこのやりとりを聞いて興味をもったのか、私への感想取材となったようで会場から呼び出されました。記者から、突然「映画の感想は」と聞かれましたが、率直に「最後まであきらめたらアカンと思った」とのべ、私が10年前に肝臓がん告知され手術し、これまで「負けてたまるか」と病気とたたかってきた自分の思いと重なったことを述べました。試写会の模様は夕方のNHKニュースで報道されましたが、私のコメントも紹介されあちこちから電話やメールが入り反響の大きさにとまどい、恐縮しています。

 試写会から一週間が経過し、“自分は何に感動したのか”今あらためて映画の感想を思い出しているところです。

 もう何年前になるのでしょうか、原監督のドキュメンタリ―映画『ゆきゆきて、神軍』を見たとき徹底した記録取材に度肝をぬかれましたが、今回もそのようなものかと試写会に臨みましたが違いました。『ニッポン国vs泉南石綿村』は格段の差があり、すごい感動や迫力があるすばらしい作品でした。これまで見た原監督の作品は「これでもか、これでもか」といった感じでしたが、今回は押したり・引いたりしながら原告団・弁護団のたたかいをまとめた、まさに人間ドラマを感じました。裁判は病気とたたかいながらの原告はもとより、親子や遺族などさまざま人々、原告の中には賠償を認められた人、認められなかった人もありました。宣伝・署名活動や厚労省交渉でも切実で迫力のある原告の訴えと共に、知性と説得力に満ちた弁護団の活躍も光っていました。

 集団のたたかいを一つの作品にまとめたという点では、小林多喜二の小説『蟹工船』の現代版のように思いました。映画の最後、最高裁で勝利したたたかいの感想のインタビュ―で「生煮え・・・」という言葉が印象に残りました。アスベストで亡くなった人はもう帰ってこない、闘病中の人は完治が困難な状況にある、発病の恐れもある人も・・・。原告団のたたかいはまだまだ続くことを示唆しているようで、「負けてたまるか」とたたかっている我われを激励してくれる映画だと思います。

 最後になりましたが、原一男監督をはじめとしたスタッフのみなさんに心からのお祝いと感謝の拍手を送りたいと思います。チラシには監督を「ドキュメンタリー映画の鬼才」と紹介されていますが、8年間にわたって原告・弁護団に寄り添い雨の日も風の日も撮りためた200倍もの記録を、まさに心を鬼にして切り縮められたことでしょう。また、後半部分の最高裁・厚労省要請行動での原告の訴えやねばり強い交渉などは、アスベストの「国賠訴訟」としての性格を理屈ではなく臨場感をもって伝わってきました。内容的にも技術的にも優れた作品として、関係者はもとよりアスベスト問題を知らない人たちにも見てほしいし、私も早くもう一度見たいです。

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